タダほど高いものはない、はいつも世の中に溢れている

例えば、プリンター 

プリンター、とにかく安いです。「こんな値段で採算成り立つのかな?」と思いながらも「安いんだから」とついインクの色の数が多い高性能のプリンターを買ってしまいます。

減りが異常に速い、さらに量が少なくてすぐなくなってしまう。そして、高額

インクの価格がどう考えても高すぎます。
「?・・・!」その通り、プリンターは安く売って、インクで儲ける。というメーカーの戦略です。

この頃ではインクの安さを売りにしたプリンターも出てきましたが、インクが高いプリンター程安くできるわけがありません。それではキャノンもエプソンも赤字になっていまいます。

何事にも「裏」が絶対にあるのが世の中なのか・・・でも仕方ありません。また、プリンターのメーカーだって生きていく為に必要なことをしているだけです。
ただ我々消費者は注意深く、敷かれたレールには安易に載らないで情報を選別することが大切です。

フラット35

本題

住宅建築業界の「お得」を検証

*現在2021年における、コロナ禍の景気下支えのための「グリーン住宅ポイント制度」は以下の話とはまた別となります。

この制度の期間中は、全ての長期優良住宅に40万ポイント(40万円分相当の買い物券、あるいは追加工事費への充当)が得られます。

・「長期優良住宅」

細かいお得{所得税の控除、登記費用の軽減、不動産取得税の控除、固定資産税の軽減期間延長}

目当ての本命・超お得=補助金110万円

この「細かいお得」の方によって浮いたお金は、長期優良住宅とする為に増額となる費用(構造計算費と水道工事費と断熱強化)とほぼ同額です。つまり差し引きゼロ、なにも残りません。
今は高断熱を標準としている工事も多く、この場合はかえって負担増となる場合もあります。

とはいっても、いずれにしてもその分優れた仕様の建物ができるわけですからそれも良し。のような気もしますが、実はここで要注意です。

建築後10年ごとの点検・報告

これを行うには原則(このあくまで原則、というところが微妙にさせています)10年おきに専門業者に数十万円の出費が伴ってしまいます。これがあると長期優良住宅は費用的には超マイナスなものになります。
今現在は役所から「抜き打ち」で点検・報告を求められるシステムですので、確率はかなり低いものとなっています。ですが、もし当てられてしまったら運が無かったと諦めるしかありません。
基本の前提として、この点検・報告はゆくゆくは全面義務化されると言われています。
それはそうですよね、国としては税金控除・優遇などの税収として減少するわけですから、その対価としてチェックするのが本来ですし、スクラップ&ビルド抑止や省エネ推進の観点からも、実行度を確認する必要があります。

「こんなことなら長期優良住宅など取得しないで、構造計算や水道のサヤ管など必要と思う事を単純なオプションとして1っ回こっきり払い、のほうが良かった」なんてことに・・・

 ですので、やっぱり補助金がないと得とは言えません。

現在の恒久的な取り扱いでは認可された施工会社に限定されていますが、その認可を得るためには施工会社はかなりの手間とお金を注ぎ込む必要があります。その為、認可されるに至る業者が少ないの現状です。そして施工会社はそれまでにかけた、手間とお金を取り戻さなければなりません。
施工会社はその資格を得ることができれば、ユーザーから指名される可能性が上がりますね。
その「取り戻す分」は当然、見積額の中の「利ザヤ」を上げてお客様のお財布から回収されます。そのアップする利ザヤ分が利益1割としても、工事費が3,000万円としたら単純に300万円です。
とうていお客様が補助金として得られる100万円どころでは済まないでしょう。皆様には、

長期優良住宅をお建てになられる場合

・抜き打ちに当たらない事。今後とも、点検・報告が義務化されない事に賭ける
・義務化されても、「義務化される以前のものについては対象外」という取り決めになる事を、ひたすら祈る

以上の心構えが求められます。

我々設計事務所は、どの施工業者であっても同一の品質で住宅を完成させなければならないので、お客様のご意志を優先いたします。
ただそうはいっても、その出費について、なにか別の検討する必要があれば進言は行わせていただきます。

特に、認可された施工業者の見積額が高額でなかなかお客様のご予算と合わない場合などは、別なアプローチでのご満足をご提案しております。

 滝沢設計ってどんな設計事務所かな? 

長期優良住宅

 ・似た事例、「住宅完成保証」

家が完成する前に施工業者が倒産した時の備え、ですね。
ご心配になるのが当然です。

施工業者の中をちょっと覗いてみましょう

工事会社がつぶれる時ってどういうときでしょう?
1 下請けの仕事が大部分を占めていて、その元請が倒産した時
2 赤字になる危険がある工事を請け負ってしまう、見通しの甘さ
3 受注難

1;現在は金融機関自体にずさんな融資がなくなりましたし、建売業も失敗する危険があると、そもそも事業としてスタートしなくなっています。
建築業界全体的に「無理な仕事はしない、請けない」という暗黙の了解ができていますので、元請けの倒産という事態もかなり減ってきています。

また、その時の世の中の景気が大きく影響します。リーマン直後などは危険な時期でした。
ところが今のコロナ禍というのは、実は建築業界にはほとんど悪影響が起きおらず。むしろ人出不足により超多忙な状態が続いています。
コロナの前は、人出不足によって仕事を請ける事ができずに倒産するケースが増えていました。コロナ後はまたこの状態が復活するのかもしれません。
もちろん建築を延期される例は実際にありますが、それを上回る人出不足により今は倒産が起きづらい時期と言えます。

2;こういう会社さんはもうとっくに無くなっています。今現在生き残っている人たちは一定の堅実さを有しているという事ができます

3;自力で建築受注を勝ち取るスキルの無い施工業者さんはたしかに多いです。このケースはたいてい何人かしっかりした壮年の人がいて、人出不足の心配がない、ただの受注難、ということです。
こういう会社は、地道な既存顧客とのリフォーム工事などを着実に続けていくことで、儲かる事はないながらも出費を抑えて、逆に返す当てのない借金などしないように堅実に経営をしています。よって、残念ながら会社として蓄えている資金も豊富なものではないことが予想されます。
なので、この会社があなたの工事中に倒産しないかどうかは、あなたのお支払いがお約束通りに行っていただけるか、にかかっていると言っても過言ではありません。きっちりとお支払いがあれば、倒産せずに工事を完成できる可能性はかなり高いと言えると思います。(私の経験による意見で申し訳ありませんが)

そしてこういった業者さんは、いたって誠実であり、アフターメンテナンスに対してもとてもお客様の立場に立って真摯に対応してくれています。

さて、完成保証は?

この完成保証を利用する為にはその保険会社が提携している施工会社と工事契約して工事することが要件となっています。
基本的にこの「提携」も先ほどの長期優良住宅の補助金の例と同じで、この提携業者が利益率を上げてくるのは目に見えています。

結局これも、普通に何の制約もない自由な選択肢の中から良心的な業者に依頼する方が、最終的に総額は抑えられる可能性があります。
なによりも、完成後の満足感がこちらの方が大きそうです。

しかも、保険で全てのお金がきれいに出てくるわけではありません

(保険とはそういうものなのかもしれません)
・既に支払いった額より工事が進んでいない場合の過払い分と、替りの施工業者の見積りが高くなった分の差額。しかも上限があります。

しかもしかも、スーモの保険以外は次の施工業者を探してくれません

ご自分で見つけなければなりませんので、この点は保険に入ったとしても、一切何も改善しません。

このような苦労をする割には全てが解決されるわけでないなら、堅実で良心的な工務店であるという情報をしっかりと集めて、信頼した上で工事契約できれば、それにこしたことはないかもしれません。

 ただし、そういった良い施工会社が見つからなかった場合は、こういった制度のほうを利用して総額を圧縮する努力をするというのも一つの手ではあります。

そもそもの、「一番大事な事」の初心に帰る

でもそもそも、依頼する業者を自由に選べないなんて、知らないうちに何かに誘導されてるみたいでスッキリしません。とっても大事なことなのに。

やっぱりそういったことも含めてトータルに導いてくれる建築パートナーと出会えれば、きっとうまくいきます。
そこを省くべきではないのではないでしょうか。

 「お得」にはくれぐれも気をつけたうえで、ベストな選択をしたいものです。
耳障りの良いワードが飛び交うものに惑わされず、あくまでも「王道」を目指すを基とし、それがより良く達成できることだけを選んでプラスしていく。こういう芯の通った姿勢が必要です。

そんな中でも効率良く利用できるものの例

費用対効果でバランスがいいのは、フラット35Sです。

(金利優遇目的でフラット35自体を利用するわけでなくても、火災保険などで有利な商品の選択が可能となります)

構造計算の義務がないので、2階建て住宅の場合は長期優良と比べると総費用が安価で納まります。

その中でも更にお得な金利Aのパターンにするには、一般的にかなりハードルの高い設計審査が必要と思われがちですがそんなこともありません。
「トップランナー基準」で設計すれば、以前の省エネ等級4(これは設計方式も簡便でかつ施工基準も整備され、しかも省エネ効果が高いという大変な優れもの基準です)で対応が可能です。
もちろん断熱材の強化とサッシのガラスのLow-E化の工事費はアップしますが、それを上回る金利メリットは確実です。

技術的な話、それはZEHとの比較につながっていく

省エネの基準は以前から変わらず今も
家として使うエネルギーを減らす
断熱・遮熱性能を高める

で、ZEHはこの二つに強化した基準を定め、3として更に太陽光発電パネル等でエネルギーを生み出すことで、消費えねりぎーを実質Zeroにするものです。

この3についてはZEH固有のものなので、3があるという点でのZEHの省エネ性の高さはある意味別格のものです。
(でも、太陽光パネルの設置費用と、10年毎の部品交換等メンテナンス費用は、発電電機の収益を引いたとしても到底60万円程度で賄えるものではありえない事は、行政が言いたくないだけで明白な事実。これは十分に留意すべきです)
*日本政府からCOPへのアピールであるという側面は、1つ抑えておくべきです。

さて話は戻って1と2について

消費エネルギーの算定においてはフラット35Sの金利Aは、通常の省エネ基準よりも約1割基準を高めています。
旧省エネ等級4の仕様は、この1割増基準を楽にクリアします。

断熱・遮熱について旧省エネ等級4の仕様で計算を行うと、かなりの余裕をもって現在の省エネ基準をクリアしています。

ZEHとの比較

・消費エネルギー

ZEHは2割高めていますので、フラット35Sの金利Aは「ZEH同等ではないが、通常の省エネ基準より高度」と言えます。(金利Bの方は省エネ基準と同じ)

・断熱・遮熱

断熱。遮熱については、まだ今のところ、旧省エネ等級4とZEHの比較をする為のデータが不足している現状です。

ただ、る事から、私の経験から来る感覚で言わせていただければ、旧省エネ等級4にいくらかの強化を加えればZEH基準をクリアするはずです。
なぜこう言えるかというと、あまりに過剰で住宅建築市場を停滞させるような重い基準を、経済優先の政府が設定するはずがないからです。

その他として、認定低炭素住宅

こちらは税制での優遇が得られます。
省エネとしての基準はフラット35の金利Aとほぼ同等です。
どのような優遇措置を得たいのかによって使い分け、あるいは両方とも取得することもできます。

あふれる情報に惑わされず、真に有意義な選択をしましょう。