リフォームを個別に分類すると見えてくるものがある
滝沢設計の主な業務は新築の木造住宅の設計・監理ですが、ことリフォームになりますとご依頼いただくのは鉄筋系のマンションが主になります。逆に木造住宅のリフォーム相談は意外なほどに少ない件数です。
もちろん滝沢設計は木造住宅のリフォームだって十分にできるノウハウを持っているのに、なんでかな?と思います。
これは、ご依頼されるお客様の側に立ってみると意外に解かりやすく、自然になるべくしてなっているともいえるようです。
住宅の主な建築構造
・住宅は、大半が木造である戸建て住宅と、鉄筋コンクリート系のマンションの二つに大別できます。
リフォームを分類
・そしてリフォームの種類を分類すると以下のようになります。
模様替え、設備機器の交換などの軽微なもの
大きく一新するスケルトンリフォーム、フルイノベーションと呼ばれるもの
増築
これらを表にしてみます
A; 戸建て住宅(木造が多い) | ⇒ | 1;軽微な模様替え、設備機器交換 |
⇒ | ×;フルリフォームは木造ではできません | |
⇒ | 2;増築 | |
B; マンション(主にRC造) | ⇒ | 1;軽微な模様替え、設備機器交換 |
⇒ | 2;フルリフォーム(自由自在にできる) | |
⇒ | ×;マンションで増築はできません |
それぞれの特徴と傾向
ではこれらの、それぞれの形でご自宅のリフォームを思い立ったかたの思考過程を見てみましょう。
A-1 木造戸建て住宅の軽微なリフォーム
建物の構造体には手を加えないので、高度な設計技術を必須としない。どちらかというとキッチンの機能などで適切で気の利いたアドバイスをしてくれる、インテリアコーディネーターのような、身近に感じられる存在の丁寧な対応に期待したい。
たくさんのリフォーム業者のなかからご自身に合いそうな会社を選ぶ。といった流れが多そうです。
× 木造戸建て住宅でのフルリフォーム、リノベーション
木造住宅の壁や柱、床は基本的に撤去ができない為、このパターンは存在し得ない。という事になります(もしこれを行うという業者がいたら、どういう手法で建物の安全を担保するのか?を重々確認し、不測の事態に対する補償まで踏み込んだ検証が必要です)。
A-2 木造住宅の増築
直感的にパッと大工さんが浮かび、増築には現場での工事の経験値が重要と想定されると思います。ここから工務店さんなどの工事会社に依頼するというケースが主流になります。
B-1 マンションの軽微なリフォーム
こちらはA-1と同様なりそうです
B-2 マンションでのフルリフォーム、イノベーション
ここだけは他のリフォームとは全く様相が異なります。
まず、マンションはラーメン構造といって、構造強度は住戸の外枠の柱・壁、梁と床、これらが全部担っています。ですので、室内の壁と柱はほぼ全て取り除いて、一旦まっさらの状態に撤去が可能です。
床や天井に穴をあける事、窓を新たに増やす事は、先程の住戸外側の構造体に影響しますしそもそも共有部なのででできませんが、それ以外はつまり、新築に近い間取りに再生も可能ということです。
水廻り、キッチンや洗面化粧台の位置の変更についても、木造住宅と比べるとむしろ自由度は高いといえます。
何かを決める際には、必ず一瞬立ち止まって慎重に検討しましょう
ただここで注意が必要なことは、間取りの再生も設備機器の移設も、決して技術的に簡単な工事ではないという点です。建築の施工技術と知識が伴わなければ、リフォームの後の長い年月をノンクレームで安心して過ごすことはできないのです。
施工の急所やツボを心得ていなかったがためすぐにドアが傾いて開かなくなってしまったり、階下の方にまで迷惑をかけてしまう漏水という最悪の事態にならない為には、基礎的・そしてマンションに特有なもの、両方の建築技術と知識が不可欠です。「大工さんは木造ならいいけど、マンションは大丈夫かしら?」と、こうしたことがお客様にもなんとなくはイメージされるのかもしれません。
それに加えて、「せっかく一新するなら工務店さんやインテリアコーディネーターからは出てこないようなデザインや斬新なアイデアを取り入れたい」と思われる方もいるかもしれません。
そして、最も重要である建築費。
フルリフォームは金額も増すだろうというのは想像に難くありません。工事を行う業者から言われるがままの額ではなく、工事からは利益を得ない中立な立場の人に間に入ってもらい、できる限り低額に交渉と取りまとめを行ってもらいたい。と思われる方もいるでしょう。
こういったお客様の心向きが様々に作用して、結果的に滝沢設計には、リフォームにおいてはマンションの大掛かりなものや、一旦すべて解体・撤去してから再生するスケルトンリフォーム、などでのでご依頼が多いのかもしれないと思っています。
もちろんこれは私の想像の域を出ないものですので、これ以外のお考えを辿られる方たちもおられることでしょう。
そんな中でもご縁があってご依頼いただいたというとは、きっと何かしらのご期待を持たれているはずです。
地域密着型の住宅リフォームへの、設計事務所のあるべき心得
新築の建物場合は都内の方からのご依頼も一定の割合あるのですが、リフォームにおいてはやはりお客様にとっては依頼先が身近な存在でいることが重要なのだと思われます。神奈川県内の横浜に近いエリアの方とのお話はスムーズに進む傾向があります。
それらのご要望に応えることを至上命題として、滝沢設計が持てる力をすべて発揮して、最高のリフォームをお届けしなければならない決意で業務にあたっています。