賃貸住宅を建てる方はいろいろ、背景もそれぞれ様々です
古くなったアパートの建て替え、遊休地の土地活用、土地を購入して建てる、注文住宅を兼ねて賃貸併用住宅・・・
でも、オーナーとしての願いは同じ
「空室はNG、満室状態で家賃は少しでも高く、でもメンテナンス費用は出来る限りかけたくない」
と、ご要望は当然共通になるものです。
(求めているものが同じ、ということは、もう既にここから競争が始まっていることも意味してるわけです、よね)
希望を実現するために、初めが肝心!
成功を掴むためにはまず、経営者サイドとしての視点を一旦脇に置いておかなければなりません。
「アパートを建てるのは自分の事業なのに、その自分を置いておくってのはどういうこと?」といぶかる声が聞こえてきます。
でも考えてみてください、あなたのアパートを選んでくれるのは入居者です。この点において経営者は完全に無力です。
もちろん慈善事業ではないので利益を産まなければ意味がありません。しかしながら入居者の立場に立ってみることなく経営側の発想だけで進めていくと、残念ながら必然的にアパート経営の成功は遠のいてしまいます。
「他人(入居者)の動向は自分の思い通りにはならない」
この原則を無視すると
入居者に選んでもらい収益の確実性を上げる為の、本来必須である努力をすることなく、支出だけを下げようと工事費の安さの限界を探し回ったり、想定利回りの数字(=実質、何の意味も持たない数字)を上げるために居住性を無視して住戸数を増やすことばかりに注力してしまいます。
工事費を抑える努力は必要ですし、住戸数も多いに越したことはありません。それだけを先に優先してしまう事に問題があるのです。
これは、適切な進行に導いてくれるパートナーを選べずに、正しい見識に欠け自分達の目先の利益だけを求める不動産業者や工事業者に設計を依頼してしまったことに起因することに依る例が多く見受けられます。
私利私欲でなく客観的な見地から、的確に入居者に選ばれ収益性も高いアパートのコンセプト構築は設計でしか行えません。
不動産業者や施工業者にはそうした能力がないだけでなく、目の前の利潤で動く業種なので元々そういうスタンスがありません。
まず、良いパートナーとして有能な設計者と出会えるかはとても重要です。
適切な良質の設計は付加的なものではない
戸建て住宅の場合は、そこに住む家族だけが満足していればそれで結構です。でも、賃貸住宅というのは違うわけです。「より多くの最大公約数の人たちの感覚に訴える」事が必須となります。
つまり、自分(建てる人)ではなく「他人」(自分以外の不特定多数の人たち)はどう感じるのか?を適切に正確に読み取らなければなりません。
その為の、的を得たデザインは、特に賃貸住宅にとっては以下の重要事項に直結します。
1 入居者に選ばれるので空室が減る
2 周辺アパートの平均値よりも高い賃料設定ができる
3 住まいが気に入れば人はそこに長く住む→入れ替わりタイミングでの空室リスクも低減できる
4 流行り廃れの無いデザインならば経年後に賃料を下げ始めるタイミングを遅らせても空室を最小限にとどめる事ができる
これに加えて、設計者の技術屋さん的な能力も大変重要
・建物構造が堅牢でがっしり造られていれば、経年しても建物強度の劣化がおきない為、大規模な修繕の必要が生じない。
・水廻りの床など、どうしても劣化が早い部位に交換が容易な素材と施工方法が考慮されている事で、リフォームの期間と費用の負担を減らす事ができる
全てにバランスよくまとめる能力を有するものに設計を依頼する
たとえ話、あなたが誰かに作農を依頼して農産物を得る事業を行う、とします。
依頼者であるあなたにはつくる作物の、甘いとか色がきれいとか、大まかな骨子を決めていただきます。
作農の依頼を受けたものは、あなたの希望を満足する野菜や果物の種類を的確にあなたに提案し、あなたの決定に沿って最適な作物ができるように土地を整えて、ベストな耕作方法を検討・決定し、最高の実りある収穫に導く能力がなければなりません。
地鎮祭でも、設計者が一番先に草を刈って場を整えます。現実としても、この役目の適任者は専門の設計従事者でなかればできないと言えます。
相性なども重要ですので、広く候補を探して慎重にお決めいただく事が望ましいと思います。
そして最後にもう一度、超大事な事なので再確認
戸建住宅は住む家族だけの満足、それででいいのです。
でも、賃貸住宅は他人から選ばれて入居してもらうことで初めて私立する事業です。より多くの最大公約数の人たちから選ばれる建物を創り、事業の成功を、是非とも確実なものにしていただきたいと願ってやみません。
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