「2.6%」

この数字を見た瞬間どう感じるでしょう?%ですので、100に対しての2.6、です。少ないですね。大事な場面ではあんまり出てきてほしくないような小さな数字です。
これは、漁業が本格化する前と比べた、今のクロマグロの数です。2.6%にまで減ってしまったんです。
お刺身が好きな人、ツナ缶が好きな人、崎陽軒のシュウマイ弁当にはいっている煮付けのファン。とにかくみんなまぐろにはお世話になってきました。そのマグロの数で2.6%という数字は見たくなかったです。私も初めは26%の見間違いかと思ってよーく目を凝らして見直してしまいました。しかも、今後20年で回復する可能性は1%だといいます・・・
2.6%とか1%とか、それは絶望的に迫ってきます。

なぜこんなことに?

この頃報道などでよく、中国や台湾・韓国の漁船が公海(どの国も漁獲して良いエリア)での「爆漁」が取りざたされていますね。ただクロマグロに限っては犯人は彼等ではないようです。
原因は産卵期に産卵場所に集まったクロマグロの大群を、ニッスイ(日本水産株式会社)など大企業の大型漁船が数キロもの巨大なまき網で根こそぎ獲り尽くしてしまうことです。その産卵場所は日本の排他的経済水域(日本しか漁獲できないエリア)なので、真犯人は今クロマグロの絶滅を目の前にしてオロオロしている、当の日本の中にいたのです。
北欧などの水産の先進国と言われる国々では政府の規制が進んできていますが、日本では本来これを規制するべき立場の水産庁は逆にこのまき網漁を保護する傾向にあります。

サステクナブル社会

追い打ち

これに伴う特に惨い現状があります。毎年この乱獲の時期になると市場には「産卵直前の」マグロが大量に余ってしまい、ついには輸入の冷凍物よりも安くなってしまいます。

おかしいです。一匹一匹、命があるものをいただくのだから、僕等はその一匹一匹に感謝していただかなくてはならないはずです。

政府のとっている現在の対策は、子供のマグロの漁獲量を半分に減らすというものですが、その元が、何の半分なのかが重要ですよね。これ実は「たくさん撮れていた頃」の半分なので、既に激減している去年と比べたら全然減っていないのです。

いつまで繰り返す?

かつて「いたみに耐えて」というフレーズが巷に流れましたが、その政治家が痛みに耐えることを強いたのは結局一部の弱い者たちでした。今この事態において政府と大企業がいたみを強いているのは、もっともっと弱い、抵抗することができない物言わぬクロマグロです。

クロマグロを絶滅から救うには、漁業者、大企業と経済界、消費者、そして日本経済に与えるダメージすらも国民全員でその痛みに耐える覚悟が必要です。
多くの消費者はその覚悟は持てるのではないかと思います。

実はこれは建築の材料においても同様です。
木材や砂の枯渇問題は常に危機的状況なのですが、幸いこれらは技術革新によって新たな工業化製品として代替される可能性があるので、従事する身としては心強い限りです。

我々に恵みをもたらしてくれる海の生物は、一度絶滅してしまったら二度と元には戻りません。大きな流れをすぐに止めることはできませんが、私達に今できることは、明日この話を隣りの人に伝えることではないでしょうか。