進化する畳

最新の畳事情を検証してみましょう。
畳といえば、イ草の香り、青々とした清冽な色、適度な硬さのここちいい感触、と言うイメージが浮かぶのではないでしょうか。
実はこの畳、このごろますます進化しています。
まず芯材。本床と言って、芯まで藁を使った昔ながらの畳は、今は珍しく、また高級品となってしまいました。芯にポリエチレンフォームを藁でサンドイッチした畳や、藁を一切使わないボードとポリスチレンフォームを合わせた畳が主流です。
畳表はさらに劇的に変化を遂げ、和紙を「こより」にして編んだタイプや、ポリプロピレンと吸湿性炭酸カルシウムを配合したタイプがあります。
どちらも従来の畳で問題視されたダニやカビの心配も少なく、日焼けに強く色褪せしにくいという特徴を持っています。

ただし

これらの新素材はいいとこづくめではありません。
まずは初めに書いた「香り」。あの独特ないかにも空気を浄化してくれそうで自然素材な藁のにおい、あれは全くありません。それはそうです、イ草ではないので。
それから質感。こちらも歩いた感じや寝ころんだ時の触感が「かたい」です。気のせいかな?と思えるレベルをすこし上回っている感じです。科学的に製造されたものは、柔らかく造ると際限なく変形してしまいますのでどうしても固めに作らざるを得ないのです。藁の場合の、「一生懸命固く造っても残る柔らかさ」とは発想と結果が逆なんですね。

この、香りと触感。捨てがたいものがあります。
でも、ダニもいやですね・・・
虫なんか殺虫剤がある、本物であることが大事。
年々経っても色があせない、というのもいいように聞こえるけどなんとなく不自然かな・・・

畳の色

素材だけでなく畳の形や色も進化しています。
色はグリーンだけでなく、ピンクやブルー、ブラック、ホワイトなどもあります。形も長方形と正方形だけでなく、円形のタイプもあり、アクセントとして使う、なんてことも可能になってきました。
大きさも従来の1帖、半帖という2種類だけでなく、30cm角や50cm角などもあり、これらを組み合わせて、和室を自由にデザインできます。(とはいっても、施工業者がいつも発注しているような町中の畳屋さんではできません。そういった特殊技術を持った製作会社になりますので、施工業者との調整は必要です)

琉球畳

畳の「へり」がなく大きさも真四角なデザイン性がとても新鮮ですね。
でもふと、考えてみましょう。「へり」って必要だからあるのでは?なんで無くてもだいじょうぶなの?

もちろんへりは必要だからつけています。お察しのとおり、角の補強です。
ということは、琉球畳の畳表は、へりが無くても耐久性が維持できるくらい固いのです。
その上に、「柔らかい畳」を想定してどさっと寝ころんだら痛い目に合います。ちなみに触り心地もやっぱりちょっと固めかな、という気がしてしまいます。

ここが琉球畳のジレンマ、とされてきました。
以前はよく、畳と近い色のヘリをお勧めしたこともありました。
ただ琉球畳に強い愛着を持たれたお客様にはこんな小手先は通じません。
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技術革新

近年、ようやくへりがなくても耐久性が確保できる強度を持つ、琉球畳ではないイ草の畳表が開発されてきました。
イ草のかおりはしっかりとあります、うれしいですね。
でもやはり琉球畳に比べると、角の部分の強度は劣るのではないか、と言われています。

そこで冒頭の新素材が再び登場です。
これらの素材は強度を十分に設定して製造されていますので、角の強度は申し分ありません。

もちろん、「いや、とにかく本物の琉球畳でなきゃ」という方ももちろんいらっしゃいます。
何事も、全てにおいてパーフェクトなものは存在せず、その長所と欠点のどれを選択するか?は各々次第です。