ペットと暮らす家
ペットは家族の一員として、多くの家庭で癒しと喜びを与えてくれます。
注文住宅で家を建てたら、ペットを飼うのが夢!という方は結構いらっしゃるのではないでしょうか。あるいは、今度建て替えるなら既に家族に一員となっているペットにとっても快適な住まいにしてあげたい、とお考えの方もいらっしゃるでしょう。
神奈川県は東京都に次いで、犬の登録頭数は全国で2位(平成26年度 厚生労働省都道府県別の犬の登録頭数と予防注射頭数等より)だそうでうす。しかも県の人口1人あたりの頭数で考えると、東京都のほぼ2倍になります。犬好きの人が多い県なのかもしれません。
そこで、今回のテーマは「犬」と暮らす上で、注文住宅の設計において気をつけたいことをお話します。
ワンちゃんにとって暮らしやすい家
ワンちゃんにとって暮らしやすい家とはどのような家でしょう。
これから注文住宅で家を建てようと考えた時に留意したいのは「床」です。なぜなら犬の体が直接一番触れるのが床だからです。寝そべりますから。
まずワンちゃんにとってどういう床が不向きかと言うところから話をはじめましょう。それは滑りやすい床です。昔と違って、畳やカーペットの部屋が減り、フローリング全盛の時代です。フローリングはどうしてもワックスがかかっていて滑りやすいのです。滑りやすい床だと、ワンちゃんが関節炎などになりやすく、特に肉球が乾き始める高齢のワンちゃんにとっては負担が大きくなります。
お薦めはタイル
ペット用防滑フローリングもメーカーから出ていますが、犬たちを見ていると走り出すときに滑って、止まるときにもつるつる滑っているようです。あれは犬にとって結構なストレスなのではないでしょうか。
そこでお薦めは「タイル」です。タイルと言っても昔のお風呂に使われていた表面のつるつるしたタイルではなく、表面がザラザラした滑りにくい床用のタイルです。(ですので、鏡面のセラミックタイルなどはこの論点においてはNGとなります)
滑らないと言っても、タイルですから表面は釉薬がかかり焼成されていますので、汚れが染み込むことはありませんからお掃除お手入れの点でも欠点はありません。コンクリートの床に直接タイルを貼る方法もありますが、水洗いできるメリットはあるものの、クッション性がないので、足腰にかかる負担が大きくなります。ワンちゃんの事を考えると木の床(合板などの床下地)に緩衝効果のある接着剤を使用して貼るタイプのほうが、多々気休め的ではありますがクッション性があるので良いでしょう。
タイルは比重が重い素材く熱を保持する蓄熱性が高いので(熱とは暑さだけではありません、冷房の冷気も保持します)、そういった特性から冬暖かく夏冷たいので、ワンちゃんも快適です。もちろん人間も快適です。
タイル床貼りの費用
やはり施工費は普通のフローリングより上がってしまいます。
でもなにも家じゅう全部の床をタイルにする必要はありません。一手の広さのあるあるエリアだけでも、わんこにとっては有意義です。そこが心地よければそこで過ごす時間が長くなる、程度のほうが、かえって野生の状態に近く活き活きと過ごせるというものです。
自然に近い、という意味でもやはりリビングのみとされる方が多いようですね。
いずれにしても後からリフォームでやろうとすると、その他の部分との段差処理などの難題が起きますので、やはり新築時に行っておいた方がベターです。
タイル床貼りのデザイン
一昔前ですと、床にタイルを貼るときは決まってテラコッタ、みたいな時代もありました。日本人の感覚がまだ西洋追従型で独自の判断ができなかったのです。
今は日本も文化的なレベルで向上し、各々が個人の感覚で自分に合う、そして客観的にも優れているものを選別できるようになってきたと思います。
都会的でクールなグレーを基調としたものや、定番の白。あるいは2色を規則的又はランダムに混ぜ合わせる貼り方など、デザインは無限に自由自在です。
犬の為でもあり、また人の生活にも潤いを与えてくれるちょっとした工夫。これだけでも毎日は大きく変わり向上させることができます。