不動産で言う所の土地、これを建築では敷地と呼びます

お客様から設計のご依頼をいただいて、まず一番先に僕等がすること、それはその敷地に行くことです。
「あれを見なきゃ」とか「~を測っておかないと」とかはあんまり考えずに、とにかく行きます。まずは敷地に立って、しばらくぼーっとします。
そしてその土地と自分が馴染んでくる感じがしてきてから次に、建て替えの場合は今まだ建っている家(これから解体される家)を優しく見ます。お客様がこれまで長く暮らしてこられた、たくさんが染み込んだ家。そこからなんとなく今までのお客様の暮らしを思い描きます。もちろんこれが具体的な設計にどう役立つかは分かりません。でも、いいデザインの優れた建築を産み出すことも大事ですが、ことに住宅に限っては依頼主であるお客様その人達と、根っ子のところで感覚的に通ずることが何よりも大切です。それは有形無形に今後の家造りにプラスになってきます。
ご要望の言葉の端々の微妙な思いや行間が感じられるような気がしてきますし、不思議とお客様とのコミュニケーションに滑らかさを加えてくれるのです。

敷地は家にとって親のようなもの

次にゆっくり敷地の周囲を見渡してみます。ここではまだ建築基準法や宅地造成等規制法などの規制は考えません、そういう機械的な視点ではなく、周りの空気感を感じ取ります。心をピュアにして見えるもの聞こえてくるもの、時ににおいなども受け取ります。
お隣や裏の家から流れている雰囲気というものがあるものです。それらと決して反発しあうような家を造ってはなりません。当然主張も必要ですが独りよがりではなく、溶け込み調和することが必要です。なんといってもこれから立つ家は新参者になります。周りの家は先輩ですから、ある程度こちらから折り合いをつけようと努める姿勢、これがこの家がまた新たにこの場所の一員となり住まうお客様を包み込んでいけるように導いてくれるはずです。

敷地は家の価値を、決定まではしないが「左右」はする

さてここらでやっと本業の斜線制限や建ぺい率や容積率、など法律上の制限をチェックします、あまりイメージばかりに走りすぎて収拾がつかなくなってはいけませんので。

に何が見えるのか、どんな音が聞こえてくるのか、風の通りはどうか、体で感じ観察することが大切です。
周辺の環境や気象条件などについても、情報収集が大切です。
この情報収集により、敷地の持つ特徴を整理し、長所をさらに伸ばし、短所と思われる点を、建物の個性やチャーミングポイントへと変えていきます。
神奈川県の場合、気候は全体に温暖なのですが、海に近いのか、山に近いのかなどにより住まいの設計に影響を与えます。

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陽当りはどうか

言うまでもなく、住まいの陽当りはとても大切です。人は陽の光を浴びないと生きていけません。また、強烈な殺菌作用により、住まいを清潔に保ちます。
さて、全ての敷地がさんさんと陽のあたる日当たりの良い敷地ではありません。特に都市部やその近郊では、近隣の建物が迫っていたり、目の前に背の高い建物があったり、陽の光が妨げられることもあります。
まず敷地を見て、ここに最大限の陽光を取り入れるにはどうしたら良いかをまずは考えます。南北に長い敷地であれば、コの字にして中庭を設けるのはどうだろう。1階の日当たりが悪かったら、2階にLDKを持っていくのはどうだろう。などと色々と考えるのです。

視線はどうか

陽当りの問題は開口の問題でもあります。南や東に道路のある一般的に陽当り条件が良いとされる敷地の場合、今度は外からの視線を考えねばなりません。割と人通りの多い道路に面した家が一日中カーテンを閉めっぱなしにしているのを見かけたことはないでしょうか。
この場合、外構計画などでフォローしてあげないと、せっかくの南道路が却って仇になってしまうこともあるのです。

音はどうか

敷地の立地条件で大切なことに音があります。道路の車の交通量の多寡、近くに学校や幼稚園があるか、鉄道はどうかなどを考えます。これはサッシの性能の設定や、窓も大きければいいというわけでもなくなります。また、中から外への音も検討が必要です。楽器やオーディオの趣味など、またその音の発信源の位置、防音対応方法もご近所・近隣の方達と円満に位していけるよう、綿密に計画して行きましょう。

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