例えば高低差のある土地

注文住宅を計画する時には、建て替えであれ、新築であれ、まず、敷地そのものの特性について、きちんと把握しなくてはなりません。
注文住宅の設計のために敷地条件で気をつけなくてはいけないこととの一つに、道路と敷地の高低差があります。この高低差が建築費に思わぬ影響を与えることがあります。
かといってマイナスばかりではありません。かかるものはかかるものとして腹をくくり、その費用は極力抑えることにエネルギーを注ぎ、それを乗り越えたら次は、その高低差を逆に利用してあげればいいのです。
神奈川県の場合、傾斜地に住宅街を形成している地域も多いので、それを生かすも殺すも設計の腕次第です。

敷地が道路面より高くなっている場合

敷地が道路面より高いと、方角にもよりますが、陽当りや眺望が良くなるなどのメリットがあります。しかし、注意しなくてはならない点もあります。
例えば高低差が12mを超える場合、敷地が崩れないようにきちんと土留(どどめ)をしなくてはなりません。この土留のことを擁壁(ようへき)と言います。
擁壁については地域により若干の違いはあるものの、施工方法や材料が法律により決められていています。鉄筋コンクリートや、間知石(けんちいし 四角錐のコンクリート材や石材のこと。斜めに積み上げます。)が代表的です。
鉄筋コンクリート造の擁壁はほぼ垂直に立ち上がるので、敷地を有効に使えますが、工事費が高額になることがあります。鉄筋コンクリート造に較べると安価なのが間知石による擁壁ですが、斜めになるので、高低差が大きいと敷地にロスが出ますので都心の敷地面積が限られた環境下ではほとんど採用例がありません。。
RC擁壁が採用されることになりますが、こちらはきちんと構造計算されるものですのでまずしっかりとした造成の知識を持って設計することと、それを正当な技術で施工してあるかをしっかり監理することが必須です。
正しく計画されることが必要なものであるがため、施工が基準通りであることが必須となるからです。

RC造とは、その分きちんと造ればそのあと人の一生くらいは長く保持される構図物ですので、しっかり造ってきっちり元を取りましょう。

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高低差をデザインの一部に取り込む

擁壁には堅牢さのみが主なお役目ですが、高低差の花形、階段はせっかくなので見せ場にしてしまいましょう。
高低差とは平面的なものよりも、それ自体にダイナミックな魅力を潜在していますので、これを活用しない手はありません。どうせ造らなければならないものなのですから、ほんのちょっとだけご予算をプラスしてカッコよい玄関までのアプローチに仕上げましょう。
どのように?もうそれは無限です。デザインはいつでもどこでも無限の可能性を秘めています。お客様の好みや嗜好と設計者の感覚をちょうどいい調合でミックスすれば、個々だけにしかない階段ができます。

道路よりも低い土地

こちらはたしかに恵まれた条件とは言えません

でも考え方を切り替えて、この条件でしか浮かばない発想を生み出しましょう。

例えば、寝室が明るい必要はないので1階として、2階リビングには真上からの太陽を効果的に取り込む工夫をします。これはじっくり練り上げれば必ずできます。要はそれを実現するやる気と根気と根性。それと少しのデザインセンスがあれば。

階段の上の家

センスある外構のデザイン

愛着のある石垣などを壊したくない場合

古い家の場合、石垣や大谷石(灰色をした長方形に切り出された軽石凝灰岩の一種)で土留がされているのをよく見かけます。どちらも風情があり、長年の親しみと愛着を感じられている方も多いかもしれません。
どちらも擁壁としては、高さが2mを超えるものについては法的に認められていないので(2m以下の場合はグレーゾーンです。建築確認の審査では「基本だめだけれど設計者が安全だと保障するならカンベンしてもいいよ」というスタンスです。つまり行政側の建築士への責任の丸投げですね)建物を擁壁の近くまで建てようとするときは、前提としては壊してコンクリートなどで作り直さなくてはならなりません。
この時、長年親しんだものだから壊したくないということであれば、建物の基礎を深くして、石垣などに圧力がかからないように施工することもできます。通常の基礎よりも深くなりますが、石垣などを壊さずに残すことができます。

でもあまりに深くなると基礎工事も非現実的になってきます、そこで。
地盤改良工事をすることで、これらの既存不適格な擁壁や土留めも存続が許されれる。という緩和というか救済規定もあったりします。

世の中そう厳しいばかりでもないものです。実際には様々な方法が存在しています。
ただし書き道路などは、その救済規定の最たるものですね。

まずは相談ください

以上のようなケースに当てはまる敷地で注文住宅を計画する場合、まずはご相談下さい。高低差のある敷地の場合、アプローチやガレージをどのように配置するかなど、アイデア次第では高低差のある敷地のメリットを最大限に活かした設計も可能です。それも家の個性や便利さへと変えていくのも設計の面白さなのです。
あなたの土地はもしかすると、とても潜在力を持っている土地かもしれません。

お気軽に滝沢設計に住宅の相談