天然木の羽目板
羽目板は内装の、壁にも天井にも採用します。
特に天井に使うと、ナチュラルなだけでなく天然材なのにモダンというか、シャープな趣も与えてくれ、面積が広ければダイナミックです。
使う樹種は一般的には、ウェスタンレッドシダーかラワンが多くなります。というのは多くの木材商が扱っており、入手が容易。また競争原理も働き比較的安価という事も大きな利点です。
その樹種が持つ色
ここで問題なのが、この2種ともに最も薄い色でもオイル塗装した後の色が比較的濃いのです。もっとも白木と赤味のバリエーションが幅広いので一概にも言えず、「すごく薄い色のものもあればかにはすごく濃いのもある」といったかんじでなのですが。
ウェスタンレッドシダー
天然木は自然の生き物なので、当然色の濃さが一定ではなくばらつきがあります。
これを「色むら」といい、プリント合板にはない不可欠な味となります。
ウェスタンレッドシダーの場合濃淡の差が大きく濃い色の方が印象が強いので全体的に濃いイメージが残ります。
ただこれは塗装をかけた場合の話で、まっさらの木の色としてはウェスタンレッドシダーでもさほど濃くはありません。「塗らなければならない」といった決まりも何もありません。
しかし、何も塗らないとどうもパサついた感じ、もっと悪く表現しますと「安っぽい」のです。
オイル塗料を塗ると薄い色や無色でも、しっとりとした質感が出てきます。私個人的にはオイル塗り(ペンキは木目が台無しになるのでご法度ですよ)をお勧めしたいです。
画像で
・薄いが色のあるオイルを塗った場合
・ほぼ無色に近いオイルを塗った場合
の2パターンをご紹介しします。
*(注)2つの画像共に、画像編集の際の明るさ調整で、実物よりも色が濃くなっています。

レッドシダー羽目板に色付きオイル塗装

レッドシダー羽目板色なしオイル塗装
ラワン
主に若いお客様の中では、爽やかなやや薄めの色合いを好まれる傾向があります。そうなってくるとウェスタンレッドシダーではしっくりこない方もいます。
そんな時ラワンの出番です。
ただラワンという樹種はの木目は杉などの針葉樹が持つ「木目」のイメージと異なっていますので、事前に施工事例や現物の板を見ていただく事も大切です。。
ちなみに私は大好きです。次の画像と、更にリンクページの中の「地下1階、2階と3階木造の2世帯混構造住宅」
をご覧いただけると、その魅力がきっとお分かりいただけると思います。

ラワン材天井羽目板

勾配天井のラワン
マホガニー
日本の建築ではあまり使われていないので、若干珍しい感が在ります。
でも世界の3台銘木と言われることもある美しい木目をもつ高級感のある木です。ギターなどの楽器によく用いられています。
特徴はその木目もありますが、私個人的にはその色の「赤さ」です。オイルを塗る前はちょうどイイ柔らかなピンクっぽい赤さですが、塗ると赤身が強くなります。
画像は、その赤を特に抑えようという意図は持たなかったので、多少色のあるのオイルを塗ったものです。
この画像で「ちょっと赤すぎかな?」と感じられた方は、マホガニーにオイル塗装をする場合は、色の無い無色のオイルがいいかもしれません。

マホガニー天井羽目板貼り
その他の選択肢
レッドシダーは赤みが強い
でもパインとかツガとか白いだけのもNG
きれいな木目が欲しい場合ラワンはいまひとつ
米松でも悪くはないんですけど、米松はすぐに黒く変色してしまいます。
雲杉はちょっとくすんでいるし。
タモやアッシュも白過ぎ・・・
つまり暖かい色合いで木目の感じられる樹種。特別に高額でなく、特注でもなく、経年による変色も少なく、自然オイル塗装後の色合いが素晴らしい。これがなかなかありません。
アルダーが一番イメージは近いんですが、床材ばかり。
でも、知り合いの材木谷屋さんから「良さそうなのが入ったんですけど、樹種がはっきりしないんですよね。それでもよければサンプルを送ります」と一報。
材木屋さんから取り寄せたサンプルを見ると、すこし木目が単調で白過ぎかな・・・
塗装前の木の色はわりと薄いものですが、この木は天然木が持つ本来の魅力である色ムラの振れ幅も狭いのかな?といった印象でした。「でも他の選択肢もないし・・・」
お客様のご予算を投じていただくことなので、かなり慎重を要する選択です。実績がない材料についても確信が必要です。確信を得るには実物の板に、実際に塗る塗料を塗って確認するしかありません。
サンプル板に試しに塗料を塗ってみて、その艶に「意外といけるかも」「いや、いける」
ここで不安は確信に変わり、お客様の満足な顔を思い浮かべて、こんどは楽しみになってきました。
大工さんの貼工事が終了し、現場監督から自然オイル塗装完了の知らせを聞き、期待に胸膨らまで現場へ・・・

天然木羽目板貼 天井 壁
自然オイル塗装
正直、予想以上の出来栄えで、とてもいい感じで仕上がりました。特段の高級木材の価格ではなく、ごく一般的な羽目板の価格でこれだけの質感が出せれば十分の上出来です。
私自身は、先に書きましたアルダーに似ているなと感じましたが、ちょっと違う気もしました。
アルダーでないとしたら、アガチスにも風合いが近いです。アガチスの完成画像が古く画質が悪すぎて掲載できないのが残念です。
今考えているのは、以前造作材として流通していたスプルス、の羽目板が見つかったら、使う価値は十分にあるので探しています。
(上部のラワン材の家の動画は動画集のページの「東京の都心、1種低層での3階建てオアシスを創る」です)
(ウェスタンレッドシダーの上の方の画像の動画は動画集のページの「横浜の木の家」です)