コストダウンされたローコスト住宅を設計している、滝沢設計のブログ

 

天然木の羽目板

羽目板は内装の、壁にも天井にも採用します。
まず機能面では、天然木には自然な吸放湿性能がありますので室内環境向上に寄与してくれます。
デザイン面では特に天井に使うと、ナチュラルなだけでなく天然材なのにモダンで、シャープな趣も与えてくれ、面積が広ければダイナミック。

使う樹種は一般的には、ウェスタンレッドシダーかラワンが多くなります。その理由は多くの木材商が扱っており、入手が容易。また競争原理も働き比較的安価という事も大きな利点です。

ウェスタンレッドシダー

天井無垢羽目板貼

羽目板に塗装は必要か?

羽目板というのは、塗装をしなければ何か支障があるわけではありません。
でも何も塗らずにそのままですと、パサついていて味が無く、自然素材としての効果を除くとデザイン的な貢献は「無い」と言ってもいいでしょう。
更にもし、ペンキなど塗ってしまおうがものなら、塗膜で木目が隠れてしまう上に木材の吸放湿性能も潰してしまいなんの意味がなくなってしまいます。
なので塗膜を作らず木目はそのままに、天然木の風合いをさらに強調させてくれる、オイルを塗ることになります。

オイルは塗りむらが出ずらい塗料なので、塗装の技術は実は不要。誰が塗っても変わりません(塗装職人のかた、ごめんなさい。でも事実なので)。
ですが工務店に依頼して塗装屋さんに塗ってもらうと当然ながらまとまった金額となります。
建築主(お客様)にもし体力と時間があるなら、工事費を節約するためにご自身で塗装をすることをお勧めしたいます。塗料選びと塗り方のアドバイスはさせていただきます。簡単ですし、ご自分の家の建築ですからきっと楽しいと思います。

ラワン羽目板

自分の家の羽目板塗装をご家族+ご友人でDIY

塗装の注意点
オイル塗装は基本的に「しっとり感」「濡れ感」が出ます。と共に、その木の色がググっと濃く出てきます。
この「濃く」が要注意で、うっかり濃い色のオイルを塗ってしまうと黒っぽくなってしまいます。
せっかくの天然木の風合いを活かすためにも、オイルの色は薄めのものを選んでください。
もっとも白木と赤味のバリエーションが幅広いので一概にも言えず、「気にならないものもあれば、すごく濃いのもある」といったかんじでなのですが。

ウェスタンレッドシダーの羽目板

投じた金額以上。満足のデザイン効果

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ウェスタンレッドシダー(針葉樹=木目がわかる)

シダーは杉なのですが、日本の杉の木目とは違い洋建築にマッチした木目です。
天然木は自然の生き物なので、当然色の濃さが一定ではなくばらつきがあります。
これを「色むら」といい、プリント合板にはない不可欠な味となります。
ウェスタンレッドシダーの場合、塗装した後の濃淡の変化幅が大きく、濃い色の方が印象が強いので全体的に濃いイメージが残ります。
ただこれは塗装をかけた場合の話で、まっさらの木の色としてはウェスタンレッドシダーでもさほど濃くはありませんので、ウェスタンレッドシダーはオイル塗装での色の変化幅が大きい。ということができます。

画像で
・薄いが色のあるオイルを塗った場合
・ほぼ無色のオイルを塗った場合
の2パターンをご紹介します。

レッドシダー羽目板に色付きオイル塗装

ウェスタンレッドシダー

無色のオイルを塗った例

ラワン(広葉樹=木目が微細でくっきりしていない)

主に若いお客様の中では、爽やかなやや薄めの色合いを好まれる傾向があります。そうなってくるとウェスタンレッドシダーではしっくりこない方もいます。
そんな時ラワンの出番です。
ただラワンという樹種はの木目は杉などの針葉樹が持つ「木目」のイメージと異なっていますので、事前に施工事例や現物の板を見ていただく事も大切です。
仕上りは「ホンワカ」「モダン」「カジュアル」、ちなみに私は大好きです。

ラワン材天井羽目板

羽目板貼りの値段をローコストに

リビング天井にラワン羽目板を貼ってオイル塗装(薄い色)

マホガニー(広葉樹=木目が微細でくっきりしていない)

日本の建築ではあまり使われていないので、若干珍しい感が在ります。
でも世界の3大銘木と言われることもある美しい木目をもつ高級感のある木です。ギターなどの楽器によく用いられているので堅さも有しています。
特徴はその木目もありますが、私個人的にはその色の「赤さ」です。オイルを塗る前はちょうどイイ柔らかなピンクっぽい赤さですが、塗ると赤身が強くなります。
高級感を持たせたい場合に適しています。
画像は、その赤を特に抑えようという意図は持たなかったので、多少色のあるのオイルを塗ったものです。
この画像で「ちょっと赤すぎかな?」と感じられた方は、マホガニーにオイル塗装をする場合は、色の無い無色のオイルがいいかもしれません。
価格はウェスタンレッドシダーより若干高価なことが多いですが、稀に特価で販売されています。

デザイナーズハウス

マホガニー天井羽目板貼り

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その他の選択肢、アガチス(針葉樹でありながら広葉樹の木目の良さを併せ持つ)

レッドシダーは赤みが強い
でもパインとかツガとか白いだけのもNG
きれいな木目が欲しい場合ラワンはいまひとつ
米松でも悪くはないんですけど、米松はすぐに黒く変色してしまいます。
雲杉はちょっとくすんでいるし。

タモやアッシュは色むらが無い・・・

つまり暖かい色合いで木目の感じられる樹種。
カジュアルだけど落ち着きもある。
特別に高額でなく、特注でもなく、経年による変色も少なく、自然オイル塗装後の色合いが素晴らしい。それがアガチスです。

シンプルモダン 板貼

天然木羽目板貼 天井 壁
自然オイル塗装

その他の樹種

以前造作材として流通していたスプルス、の羽目板が見つかりました。
試し塗りをしてみると、アガチスより若干大人しい感じです。
価格はラワンと同じくらい。
好みに合うお客様にとってはとても良いデザインを提供できると思います。

羽目板は、特別な高級木材ではないのに素晴らしい空間を創り出してくれる、とても費用対効果の高い優秀なアイテムです。

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ウェスタンレッドシダーの動画

ラワンの動画