市場を理解する

こんにちは。神奈川県横浜市の設計事務所・滝沢設計です。
さて今回はアパート建築を成功させるために、事前に調査し理解しておくべきことについてお話します。それは、アパートを建築する敷地の、「立地の特性と入居者のニーズを知る」ことです。
「そんなことは調べるまでもなくわかっている。この辺はワンルームを建てておけば間違いがない。実際に他のアパートもそれで上手く行っている。」というオーナー様もいらっしゃるかもしれません。
しかしながら、時代は変化していきます。また、これからどう変化するかもある程度読むこともできます。少子高齢化のみならず人口までもが減少に転る中、アパートはエリアによっては供給過多となり、空室で困っている物件もあります。それでも築年数の長短ではなく、人気のあるアパートとそうでないアパートと分かれます。
ここから見て取れるのは、アパート建築はこれまでのように無難で安心な投資とは言い切れない側面が出てきました。
ただ普通のものを普通に建てるのではなく、他のアパートとの差別化を狙う「攻めの姿勢」が必要な時代になってきているのかもしれません。
いずれにしろ、基本になるのはまず建築予定地の賃貸としての特性を把握することがアパート建築成功のための第一歩です。

立地について

アパートを建築する上で、立地環境は言うまでもなくとても大切です。
まず、どこかの大手土地活用会社でもない限り、畑の中にポツンというような立地はお勧めできません。神奈川で言えば、できれば理想は横浜や川崎など大都市にアクセスが良い。地価が高すぎるのであれば、中都市、例えば厚木や海老名。あるいは平塚・小田原などに近いことは最低限抑えておくべき条件です。
特殊な例として、バス便だが海に近く、サーファーの入居者が見込める。など、その土地固有のアピールポイントは何かをよく理解することが大切です。

入居者ニーズとは

土地固有のアピールポイントを理解すると同時に、その立地環境ではどんな入居者層が住み、どんなニーズを持っているかを見極めることが大切です。
そこで入居者のタイプごとに求められる代表的な立地環境を挙げてみました。もちろん全ての層の人が必ずそういうニーズを持っているとは限りませんが、市場を考える上では、参考になるはずです。
【大学生・専門学校生の場合】
地方から出て一人暮らしをしているケースが多く、交通の利便性を重視しながら、学校に近い、コンビニが近い、物価が安い、アルバイト先が豊富などのニーズがあります。
静かで落ち着いた環境という条件はさほど重要ではありません。むしろ活気のある、エネルギーの満ちた街を好みます。
また、その学校の生徒たちの特色や嗜好もよく調べておきましょう。
【若手サラリーマンの場合】
残業や接待などで帰りが遅くなることも多いので、都心に近く駅が近い、コンビニが近くにある、深夜営業の飲食店やレンタルショップがあるなどの利便性を求めます。学生と違い、家賃は会社が払う(法人契約)のことも多いので、付加価値を付けて高めの家賃設定が狙えます。
【新婚カップル・中堅サラリーマン】
最寄り駅が商業地に位置しており、スーパーや商店街、医療機関、行政機関、金融機関などが近くにある立地を求めます。仕事も安定し始め、堅実な人生設計を重要視し、無駄・無理のない生活スタイルをとる層と言えます。1LDKや2DKの少しゆとりがある部屋を求めます。
【ファミリー、単身女性、高齢者の場合】
駅や商業地に近いという利便性よりも、幼稚園や保育園、小学校、公園が近いなど、静かで安全な環境を求めます。特に子育て世代は、子どもの安全を再優先するので、整備された、区画の整然とした街を求めます。

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建築予定地の市場の判断

それでは、具体的にアパート建築予定地に適した賃貸の形態をどう判断すればよいか、ポイントを整理します。これらの要素を検証し、客観的に市場を解釈します。
【ポイント】
1.最寄り駅までの距離
2.街のイメージと知名度
3.周辺エリアの生活環境(住宅街か商業地か、学校、公共施設、公園など)
4.交通機関の利便性(急行停車駅、始発駅、ターミナル駅)
5.道路環境(自動車及び歩行・自転車)
6.入居者の特色(学生ならば男子校女子高、裕福な家庭の子、又は苦学生)
7.大規模な施設の有無(工場なら従業員の年齢・収入まで想定する、ショッピングセンターの有無)
8.周辺のライバル物件の状況
9.最寄り駅の搭乗者数
以上の要素を整理し、最も人気の高いタイプの賃貸住宅を計画するのも良いでしょう。逆に、ニーズはニッチだが、競合がないため高めの家賃設定でも入居者が見込めるペット可住宅は、これからのニーズは増加傾向かも知れません。

おわりに

実は上記の要素で一番着目したいのは周辺のライバル物件の状況です。人気のある賃貸住宅はなぜ人気があるのかその理由、設備や間取り、サービスについて分析すると参考になります。
将来的に変化していく市場状況や、逆に変化しないものは何かを見極めて計画を立てることが大切です。
まず初めには信頼できて十分な経験と知識のある建築士と計画を進め、節目節目では建築予定地の近くの不動産業者に飛び込んでざっくばらんに意見を求める行動力も必要となります。
滝沢設計では市場にマッチした、個性的で魅力なるデザインの賃貸住宅を提供しています。
アパート建築の実例もHPで上げていますので、ぜひご覧ください。

アパートを神奈川で建築するなら滝沢設計