神奈川県横浜市の設計事務所・滝沢設計です。

今回はアパート建築についてお話をします。

投資として

土地を新たに購入して建てるというパターンがうまれました。
特に若い層の方の投資熱に火がついた形となっており、かなり積極的な攻めの投資として土地からのアパート経営が、一時期脚光を浴びました。

ですが不適切な融資の実態が明らかになったことで、状況は一変。
現在は土地を買ってアパートを建てようとする方にの融資は、たいへんにハードルの高いものとなっています。

さいわいに融資が受けられることになった場合ですが、いろいろとご相談を受ける度に再認識させられるのですが、利回り計算のパーセンテージというものは、建物の工事費の差は小さい為に、結果的に土地価格によって上下します。ということは? つまりとっかかりの収支が成り立つかどうかは「土地の値段」にかかっています。

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東京都内の人気エリアでは土地の価格が別格に高額、しかもかつ、恒常的に上がり続けていますので、土地購入から投資の場合は土地価格に圧迫され高い利回りは期待できません。はっきり言ってしまうのはつらいのですが、「難しい」を超えてしまいもはや「無理」となっていることを、これからご説明します。
全額を自己資金で、という方はほぼいないと思われますので、ここで金融機関の融資が受けられるかどうかが、最初のハードルとなります。
金融機関は融資する対象によって条件を変動させます。特段に年収が多かったりあるいは、その収入減(資産や職業)が手堅い方については、低い利回りでも融資をしますので、幸いこのケースは極まれな例外として投資計画を推し進めていただけます。
しかしながら大多数の方が一般的に求められている利回りを(具体的には8%以上など)得る事ができるような低価格帯の土地は、都内人気エリアにはもはや完全にありません。
つまり言い換えますと融資が受けられません。残念ながら結果的に、土地購入からのアパート投資は不可能となってしまいます。これは大変に残念ですが、現実です。

東京で土地購入から始めるには、人気エリアからは一定距離離れたエリアを狙う、あるいは若干周辺の環境面で難がある、又はかなりの高低差・超変形地などで価格が低い、かつ奇跡的に高収益可能な設計が成り立つ土地。このように条件を下げた土地でも滅多にはないのですが、辛抱強く探していただければ可能性は残っている「かも」しれません。
でも気を付けていただきたいのはそうした土地が、入居者から見てどう映るか?を冷静に考えることを忘れてはいけません。

更にここで、決定的に不利になることを思い出してください。土地の情報は一般人よりも先に不動産業者に渡ります。
もし奇跡的に安い掘り出し物の土地を、不動産業者が見逃す可能性は、この競争社会においてはかなり低いものとなります。

幸運を期待して待つ・・・
待つという事は、危ない物件には手を出さないという事なので、ある意味健全とも言えます。

ここで、幸運をあてにしたくない、ある意味せっかちな方が陥りやすい危険な罠があります。
やってはいけない方法は、
1、一般の入居者の感覚からすると「かなり変わった」設計プラン、そして日照や通風・衛生面、居住者間のプライバシーなどの居住性を後回しにした設計プランでぎゅうぎゅうに詰め込んで、強引に住戸数を増やして利回りの数字だけを確保する。
2、建物の工事費を限度を超えたレベルまで下げる=超安普請で建てる、あるいはバルコニーなどの通常は必要なものが無い
ことです。
入居者がそうした賃貸アパートを自分が生活する住まいとして選んでくれるのか?
数年経過後に空室が発生するのではないか?
出口戦略で希望価格で売却できるのか?
(これらが失敗すること、それはイコール、そのアパート経営事業の失敗を意味します)

我々賃貸住宅に関わるものは、都内でもごく近い将来には人口が減少することが確実視されていること。そしてオリンピックも終わってしまうことを、肝に銘じなければなりません。
それなのに、ほとんど始めから負けている危険な「賭け」のような勝負を、しかも大金を投じで、仕掛ける事を不動産業者やグルになった建設業者達は消費者に煽っています。
こういう例を実際に目にしており(当事務所にご相談に来られた方で)、これは実際に今起きている事です。こうした無理やりな事を勧める、モラルに欠けた不動産・建築業者に惑わされてしまい、不幸な道に進まないでいただきたいと願うしかありません。

一方神奈川・千葉・埼玉は会社や工場などの仕事先、また大学も数多く、風土という観点からはアパート投資には適しています。
でも例えば神奈川県でも横浜・川崎を中心とした条件がいい土地というのは、採算ラインに合う価格の土地は皆無です。もしそういった土地があったならばそれは奇跡以外の何物でもないレベルです。
「奇跡でもあるかもしれないなら待つ」という方がいるかもしれませんが・・・それはもしかすると永遠になるかもしれません・・・

お伝えするのが心苦しいですが、ここははっきりさせなければなりません。結果的に、横浜市・川崎市の中心地では都内と同じ状況、土地からのアパート投資は不可能になっています。
困ったことに不動産において掘り出し物、というのは基本的にはないようです。残念ながら横浜・川崎等は対象から外さざるを得ません。

その上で、より事業の成功を確実にするためにお勧めすることとしては、やはり中心部から離れたエリアにポテンシャルのあるエリアを発見することです。
そうなってくると一転、同じ事を考えているであろうライバル達よりも成功へ一歩先んじることになります。
そしてやや形がいびつだったり隣家が接近して時には越境していたりしても、相場よりも安い土地の発見も有力です。多少の変形敷地や日照条件は我々が設計でなんとか克服します。
言い方を変えますと、他の人が気が付かないアパートに適したエリアを発見し、多少条件に難のある安い土地の建物を、設計力で商品魅力のあるアパートに練り上げる、これが土地購入から神奈川でのアパート投資、という狭き門をくぐりぬけて大成功する鍵となるのです。
この際の設計は、単純に同じ間取りをぶつ切りに並べたような安易なものでは、間違いなくその敷地の中には納まりません。

あともうひとつ、稀にある土地が、「価格は相場ではあるが、採光・プライバシー・環境などの諸条件が良い分、実質的には割安な土地」です。
こうした土地に、他のアパートよりも付加価値の高い競争力のある建物をしっかりと創る事ができれば、実は家賃を相場より高くしても満室になるのです。事実として滝沢設計が設計したアパートでは家賃が高くても、空いてもすぐに次の入居が決まる、地元の不動産屋さんの間で評判の「常に空き待ち」物件になっています。
こうなってくれればしめたもの、古くなってきても家賃を下げ始める時期を遅らせることもでき、結果的には安い土地で始めたのと同じ利益をオーナー様にもたらしてくれます。

デザイナーズアパート建替え
ただでさえ出回る土地が少ない神奈川など首都圏内の情報の中で、事業として進めていくには入念で高いレベルの設計面での創意工夫が、これからのアパート建築には不可欠となってきています。
これから土地からのアパート投資をお考えの方々には、この波に乗り遅れないように、と願わずにはいられません。

既に所有の土地に建築する場合

こちらの場合は先に述べました、土地購入からの場合とは全く異なり、土地代というものがかからないので、神奈川はもちろん例え東京都内であったとしても、事業としてはそうとう有利です。(もちろん駅からの距離や敷地の状況を無視はできませんが)
ただし少子高齢化が進む昨今、アパートは建てれば入居者がすぐ決まる、と言う時代ではありません。新築当初はそれでも良いかもしれませんが、10年たち、20年経った時に競争力のある優良な資産として機能させるために、きちんと考えておきたい大切なことがいくつかあります。その一つが、目的を決めるということです。

アパート建築のメリット

アパートを建築するといっても、それぞれ事情が違います。今現在アパートを所有しており、古くなって空室が目立ち始めた。駐車場に貸している土地があるがアパートを建てようか検討しているなど、様々です。

賃貸併用住宅の実例

アパート建築の様々な目的

1.土地の有効活用
利用していない土地や建物があれば、これを活用して、家賃収入により利益をあげる、固定資産税を引き下げる、他の収入と合算して節税を図るなど、有効活用です。それぞれの土地にはポテンシャルがあります。市場をよく把握し、投資効率の高いアパート建築を目指しましょう。
利益を上げる方法は、建築コストを抑えるだけでは十分ではありません。周りの賃貸需要をよく調べ、競争力のある、入居者を惹きつけるようなアパートにしなくてはなりません。
奇をてらい過ぎて、敬遠されてしまったりすぐに飽きられてしまうようでは何にもなりませんが、ある程度の斬新さはこれからアパートが増えてくることを考えると必須ともいえます。
木造3階建て共同住宅や長屋形式、賃貸併用住宅なども積極的に検討対象に入れて、あらゆる選択肢の中から最も高収益なスタイルを選択することが大切です。

2.相続対策
相続対策として有効な手段の一つがアパート建築です。住宅があることで、土地の評価額を引き下げます。またローンを組むことで、土地建物と併せて借金(マイナスの遺産)も相続するので、被相続人にとっては有利に働きます。この場合家賃収入による利益もさることながら、資産をいかに減衰させることなく継承していくかも、併せて大事なテーマになります。
このケースでは、初期投資額を抑えることが重要となります。
無理のない、ローコストに建てられる設計で、家賃収入の額よりも空室がおきない事を主眼とした計画が望まれます。

3.老後の私的年金
年金制度の先行きの不安、老後も楽しく生活したい、子どもたちに頼りたくない、ということであれば、まずは生活を安定させるために、やはり年金以外の収入が欲しいものです。そのためにアパート経営は有効です。
こちらはとにかく、工事費を今お手持ちの御資金内で納めることが必須事項となります。
利益優先の不動産業者や建築業者ではなく、まずは無料で相談に乗ってくれる信頼できる建築士に計画を練ってもらうのがいいと思います。

4.老朽アパートの建て替え
老朽化したアパートは入居者を入れるために家賃を下げたり、空室もなかなか埋まらなかったりと、メリットがありません。
また、老朽化アパートは耐震性の面でも不安があります。万が一地震により入居者が怪我をした場合、オーナーが責任を問われることもあります。備えあれば憂いなし。まずは速やかに対応を検討することをお勧めいたします。
その結果、もし建て替えが難しい要因が判明した時は、気持ちを切り替えてリフォームへと舵を切れるはずです。
建て替えかリフォームかの判断は、やはり建築士が最も適任かと思います。

5.固定資産税対策
土地は更地のまま(駐車場も同じ)所有していても、固定資産税がかかります。住宅の建っている土地は小規模宅地の評価減という税金面のメリットがあります。相続の上でも大きな役割を果たしますが、現在の生活の無駄を省き、利益を得ることができます。
純粋に節税が目的であれば、小ぶりな2階建てで初期投資を抑え、駐車場などを充実させてより安定したアパート経営が良いでしょう。
より積極的に高収益を期待するならば、そしてその土地の法律規定が許せば、3階建てをお勧めします。

6.自宅建て替え費用の負担を軽減(=賃貸併用住宅のすすめ)
自宅の建替えるときに、賃貸を併用することでその家賃収入により、結果的に建築コストを軽減することが可能です。また、2世帯住宅への転用もしやすいので、これを目的にする人もいらっしゃいます。

望ましいアパート建築というもの自体には一定の方向性がありますが、これらの目的に合わせて造るべきアパートの表層の造り方が変わってきます。
例えば、入居者のターゲットを(高額所得者・学生さん・家族で長く住んでもらう)のどれに合わせるか、そしてそれに最適なアパート造りが、繊細な部分にまでできていたならアパート経営の成功は確かなものとなります。

全てのケースで共通の事

神奈川や東京では、程度の差こそあれ隣家は必ず建っています。全ての住戸が同じ間取りでは隣家の陰により各住戸にまんべんなく十分な採光を確保させることもできないでしょう。これは設計初期の間取り計画の時点から、設計で工夫しない限り得られませんが、これはアパートが「新築」の冠を奪われてからの空室率にたいへん大きく影を落としてしまう要因となっています。つまり、入居者にとって良い住宅であることが、そのままオーナー様の収益に直結するのです。
過去から学び、是非「入居者ファースト」のアパート投資を成功させてください。

神奈川・東京都内、あるいは土地をお持ちか購入かなど、投資をお考えの方は様々です。

滝沢設計は豊富な経験に基づいた、親切で的確なアドバイスを心がけています。
あまり重くはならずに、まずはお気軽にお話を聞かせてください。

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