神奈川県横浜市の設計事務所・滝沢設計です。
今回は2階建て木造住宅の構造計算についてお話します。
日本では様々な住宅工法があります。木造の在来工法、ツーバイフォー工法、プレハブ工法、ユニット工法等です。その中で、ダントツに多いのが木造住宅(在来工法)です。
さて、ここで住宅の役割とは何か、改めて考えてみましょう。
それは、「人命と財産を守る器」であること。それが、住宅が常に持っていなければならない大切で、基本的な機能です。地震や台風、竜巻、火事などの自然災害、人的災害から人の生命と財産を守ることが住宅としての大切な役割のひとつです。
阪神大震災を始め、東日本大震災、最近では九州熊本での震災と、地震の被害の傷も癒えないうちにまた別の地震が発生し、人に建物に大きな被害を発生させています。
日本に住む限り、地震とは無関係な場所は無いといえます。
神奈川は、以前から懸念されている東海地震の震源と仮定される駿河トラフも近く、地震に対しての警戒意識の高い県です。
木造2階建て住宅には構造計算は義務とされていない
地震に耐えうる力をこれから建築する建物が有しているかどうかを判定する拠り所が構造計算ですが、木造2階建て住宅については、構造計算は法律、すなわち建築基準法で義務付けられておりません。
別記事で説明したように、構造計算をしなくても、建築基準法施行令40~49条などの技術基準いわゆる仕様規定を満たせば良いとされています。
もちろんこれらは確かな根拠を基に定められており、法律でOKとされていることですので、その基準を適切に遵守することができていれば構造強度は全く問題なく建築されることができます。
この適切に、というところがとても重要で、実は、構造強度に関する基礎的な知識を有する経験豊かな設計者の構造設計計画を伴うことが必須です。つまり言い換えますと、しっかりとした技術・経験・知識を持った建築技術者が監修しなければ、単に規定を満たすだけでは構造強度上不完全な建物になってしまう、ということでもあります。
滝沢設計はこの点については、過去の実例において完璧な実績を残してきています。
これまでの大きな地震、やはり3.11が一番でしたが、あの当時、そして今でも滝沢設計が設計・監理した建物に全く何の損傷も起きていません。これは我ながらとても誇らしいことです。
お客様目線で見てみる
ただ2階建て木造住宅の場合は、視点を変えますとただひとつ、どんなに正しく造られていても、その安全性が数値化されていないということは確かに言えると思います。
その数値化による担保をお求めになられるお客様には、構造計算がひとつの回答となり得ます。
またもうひとつ、とても重要な事があります。
もし知識と経験に基づかない人が構造計画をした場合には、いくら構造計算をしたとても意味がないのです。
なぜなら、構造計算というものは「その建物の構造的弱点を改善させて強くする」ことはできない、というか元々そういったものではないからです。
本来の目的はあくまで「しっかりと正しく計画された建物の構造を、改めて数字的に安全性を立証する」というものなのですから。
つまり、構造計算をする、しない。あるいは必要、不要。ではなく、大元の構造設計計画はしっかりと正しく行われていなけばなりません。
滝沢設計は常にこの点に重きを置き、構造計算をしない場合においても、充分に堅牢な木造2階建て住宅を造ってきた実績を重ねています。
数値での担保を求め構造計算を希望される方、コストを重視して構造計算を希望されない方(耐力壁の量を基準の1.5倍、ブロック化による構造検討で対応)のどちらでも、できる家の強度自体には優劣の差が無いものとなっています。