暖炉

暖炉のある暮らし。一度は憧れたことはないですか。ゆらめく炎、薪の爆ぜる音、木の香り、優しいぬくもりに癒されます。
実はこの暖炉、暖房器具としては、例えば薪ストーブなどと較べると、暖房能力はそれほど高くないということご存知でしたか。(薪ストーブと暖炉の機能的な差異については別の記事で触れる予定です。)それでは欧米において暖炉はどのような役割を果たしているのでしょう。今回は暖炉のお話です。

インテリアとしての暖炉

暖炉は壁に埋め込むか、上部側部を壁で覆って作るかのビルトインタイプになります。この時、暖炉のまわりを石や木材で装飾しますが、これをマントルピースと言います。(炉とマントルピースを総じて、暖炉あるいはマントルピースと呼ぶこともあります。)
欧米の家庭では、このマントルピースに、家族の写真や、置物、食器などを置いて飾り付けをします。マントルピースの上部には絵を飾ったり、鏡をかけたりします。クリスマスには靴下を吊るしたり、クリスマスリースを飾ったりと、季節に応じて演出します。つまり、マントルピースは、暖房器具としての役割よりも、インテリアを構成する中心的存在なのです。日本で言うと床の間に近いイメージでしょうか。

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暖炉を作る

暖炉は薪を燃やすので、当然煙突が必要になります。新築の場合、煙道と言って、不燃材で囲う必要があります。1階から2階まで通し、屋根に煙突を出します。屋根に穴を開けるので、雨仕舞いなど注意が必要です。またもちろん火器ですから建築基準法でも規定があり、煙突の排出口はその他の部分、例えば屋根面から60cm以上離さなければなりません。本格的な暖炉は、注文住宅で設計段階から組み込みます。
このように暖炉は大工事になる上に、街中であれば近隣への影響や、エネルギー源である薪の調達の問題など、クリアにしないといけない課題がいくつかあります。
そこで、本格的な暖炉ではなく、煙突を作らず、マントルピースだけ作るというやり方もあります。また、ガスやバイオエタノールを使用した薪を使わず、煙突も不要な、炎を楽しむことのできる暖炉もあります。
今はまだ少ないですが、暖炉のある暮らし。疲れて仕事から帰ってきた後ビールを片手にボー・・・。お風呂上りに録画した海外ドラマを観ながらボー・・・。このボーが明日の活力を生み出してくれるのです。ストレスの多い現代に生きる私たちにひょっとしたらかなり向いているかもしれません。

横浜は温暖なので暖炉を希望されることは少ないのですが、注文住宅のアイテムとしても残り続けていくスタンダードです。